• 2026年5月28日

おしりの痒みは何科を受診するべき? 肛門科医が徹底解説!

「おしりがムズムズして落ち着かない」「夜になると痒くて眠れない」

といったお悩みを抱えている方は、実は決して少なくありません。

しかし、場所が場所だけに

「恥ずかしくて相談しにくい」「病院に行くのがためらわれる」

と感じ、市販薬で済ませてしまっている方も多いのではないでしょうか。

また、いざ受診しようと思ったとき、一番迷うのが「皮膚科と肛門科、どちらに行けばいいのか?」という点です。今回は、おしりの痒みの原因となる疾患や、なぜ肛門科の受診が推奨されるのかについて詳しくお話しします。

おしり(肛門周囲)の皮膚は非常に薄くデリケートで、唇や目の周りと同じくらい刺激に弱い部位です。痒みを引き起こす原因は多岐にわたります。

【肛門そう痒症(こうもんそうようしょう)】

受診される患者様の中で最も多いのが「肛門そう痒症」です。これは、アトピーのように体内から湧き出る湿疹ではなく、「洗いすぎ」「こすりすぎ」「掻きすぎ」といった習慣によって、ご自身で作り上げてしまった湿疹を指します。 清潔にしようとして温水洗浄便座(ウォシュレットなど)で長時間洗ったり、トイレットペーパーでゴシゴシ拭いたりすると、皮膚を守るバリア機能(皮脂膜)が破壊されます。すると、普段は感じないような些細な刺激でも強い痒みを感じるようになり、掻くことでさらに皮膚を傷つけるという「痒みの悪循環」に陥ってしまうのです。

【痔(いぼ痔・切れ痔・あな痔)】

「痔で痒くなるの?」と驚かれるかもしれませんが、痔は痒みの大きな原因です。

いぼ痔(痔核):脱出したイボから粘液が漏れ出したり、分泌物が付着したりすることで皮膚が刺激されます。

切れ痔(裂肛):傷口からの分泌物や、見えないレベルでの便汁の漏れが痒みを誘発します。

あな痔(痔ろう):肛門周辺にできたトンネルから膿が排出され、それが皮膚に触れることで痒みや炎症が起こります。

【真菌症(カビ)】

湿った環境が続くと、カンジダや白癬菌(水虫)などの真菌が増殖することがあります。特に夏場や、バリア機能が低下した皮膚で起こりやすく、強い痒みを伴います。

【その他の特殊な疾患】

性感染症:尖圭(せんけい)コンジローマなど、ウイルスによるイボが痒みを引き起こすことがあります。

皮膚がん:稀ではありますが、パジェット病やボーエン病といった皮膚のがんが、なかなか治らない湿疹・痒みとして現れることがあります。

皮膚の痒みであれば皮膚科でも対応可能ですが、肛門周囲に関しては肛門科の受診を強くおすすめします。その理由は以下の3点に集約されます。

■原因の「根本」が肛門の内部にある場合が多い

痒みという「症状」は皮膚に出ていても、その「原因」が肛門の奥に隠れている痔や、便通の異常(便の出し切れなさなど)であるケースが非常に多いからです。肛門科では、視診だけでなく、指診(指での診察)や肛門鏡という専門の器具を用いて、肛門の内部に異常がないかを正確に診断できます。

■誤った自己判断による悪化を防げる

例えば、痒みの原因が「真菌(カビ)」である場合、一般的な湿疹に使用するステロイド薬を塗ると、菌が増殖してかえって悪化してしまいます。また、市販の痒み止めを使い続けることで、かぶれ(接触皮膚炎)を併発しているケースもあります。専門医であれば、培養検査などを用いて、湿疹なのかカビなのかを明確に診断し、適切な薬剤を選択できます。

■重篤な疾患の早期発見

前述したパジェット病などの皮膚がんは、一見するとただの湿疹に見えます。ステロイドを塗っても2〜3週間以上改善しない、あるいは皮膚がゴワゴワと硬くなっているといった場合、がんの可能性も視野に入れて検査を行う必要があります。これを「ただの痒み」として放置せず、専門的な知見から判断できるのが肛門科の強みです。

当院にお越しいただいた際は、まず丁寧な問診と診察を行い、原因を特定します。治療は主に以下の3つを組み合わせて行います。

薬物療法:炎症を抑える外用剤を症状に合わせて処方します。

便通の改善:便のキレが悪かったり、下痢をしたりしていると、肛門周囲が汚れやすくなり、アルカリ性に傾いた便が肌を刺激します。腸活を意識し、便の状態を整えることが再発防止の鍵です。

正しいお手入れの指導:ここが最も重要です。

【おしりのトラブルを防ぐための日常生活での注意点】

温水洗浄便座は控えめに:水勢は「弱」で、10〜15秒程度に留めてください。

石鹸で洗わない:肛門はぬるま湯で流すだけで十分清潔になります。石鹸は皮脂を落としすぎるため、痒みがあるときは控えましょう。

拭き方は「押し拭き」:トイレットペーパーでこするのではなく、やさしく水分を吸い取るように押さえてください。

通気性の良い下着を:蒸れを防ぐため、綿素材などの通気性が良いものを選びましょう。

おしりの痒みは、日常のちょっとした習慣の見直しや、適切な薬剤の使用で劇的に改善することがほとんどです。 「痒みくらいで病院に行くなんて……」と思う必要はありません。豊洲ベイサイド内科外科では、患者様のプライバシーに最大限配慮した診察を行っています。

痒みは体が発している「皮膚の悲鳴」です。悪循環に陥って皮膚がボロボロになる前に、ぜひ勇気を出して専門医の門を叩いてみてください。健やかな毎日を取り戻すお手伝いをさせていただきます。

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