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感染性胃腸炎 infectious-gastroenteritis

感染性胃腸炎

突然の腹痛や吐き気、下痢といった症状に見舞われたとき、「胃腸炎かもしれない」と不安を感じる方は多いでしょう。感染性胃腸炎は多くの場合、自然に回復しますが、脱水や高熱、強い倦怠感を引き起こすこともあり、特に小児や高齢者では重症化のリスクも伴います。そのため、早めの適切な対応がとても重要です。

感染性胃腸炎の症状

感染性胃腸炎の症状は、原因となるウイルスや細菌の種類、摂取量、そして免疫力の状態によって異なります。典型的には以下のような症状がみられます。

  • 吐き気・嘔吐、下痢、腹痛
  • 発熱:ウイルス性は37度台、細菌性では38度以上になることもあります
  • 食欲不振
  • お腹の張り(膨満感)
  • 全身のだるさ、倦怠感
  • 脱水症状(口の渇き、尿量減少、強い疲労感など)
  • 血便:大腸の粘膜に炎症が生じることで出ることがあります
  • 合併症:まれに運動障害、貧血、けいれん、意識障害など

症状は多くの場合、吐き気から始まり、発熱や腹痛を経て下痢へと進みます。
ただし、病原体によっては発熱から始まるケースもあります。
以下のような場合は、すぐに医療機関を受診してください

  • 嘔吐が2日以上続く
  • 下痢が数日間以上続く
  • 血便が出る
  • 高熱を伴う
  • 腹痛の症状に変化がある
  • 意識障害や失神が見られる

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感染性胃腸炎の原因

主な原因

ウイルス性胃腸炎

代表的なウイルスとして、ノロウイルス、ロタウイルス、アデノウイルスが挙げられます。特にノロウイルスとロタウイルスが原因となることが多く、ロタウイルスは5歳未満のお子さんのほぼ全員が感染すると考えられています。年齢が高くなるにつれてロタウイルスによる胃腸炎の頻度は減少し、ノロウイルスがその大半を占めるようになります。ウイルス性胃腸炎は「お腹のかぜ」とも呼ばれ、特に冬の時期(11月~3月頃)に流行しやすい傾向があります。

細菌性胃腸炎

生卵や生肉の摂取によって感染するため、食中毒の一種として捉えられることも多いです。原因となる細菌には、カンピロバクター、サルモネラ菌、病原性大腸菌(O157などの腸管出血性大腸菌を含む)、黄色ブドウ球菌、腸炎ビブリオ、セレウス菌などがあります。

カンピロバクター菌 鳥類や犬・猫などのペットの腸に存在し、鶏肉の生食や加熱不十分な摂取、調理時のまな板や手指への付着を通じて感染します。
サルモネラ菌 生卵や加熱不足の肉が主な感染源です。
腸管出血性大腸菌(O157など) 牛や豚などの家畜の腸内に生息しており、これらの糞便に汚染された食肉からの二次汚染や、生野菜などが原因となる可能性があります。
黄色ブドウ球菌やセレウス菌 食品中で産生された毒素によって発症することが特徴です。 細菌性胃腸炎は、気温が高く細菌が繁殖しやすい夏場を中心に発生する傾向があります。

感染性胃腸炎のウイルス・原因菌の潜伏期間

感染性胃腸炎の潜伏期間は、原因となるウイルスや細菌の種類によって異なります。

ウイルス性胃腸炎

ノロウイルス:1~2日
ロタウイルス:1~4日
アデノウイルス:1~3日
サポウイルス:1~2日

細菌性胃腸炎

カンピロバクター:1~7日
サルモネラ菌:6時間~3日間
腸管出血性大腸菌(O157など):4~8日
腸炎ビブリオ:8時間~1日
黄色ブドウ球菌:30分~6時間

Q.感染性胃腸炎は人にうつる?

感染性胃腸炎は、その名の通り「感染性」であり、周囲に感染が広がる危険性があります。感染力が非常に高く、早期の適切な対処が感染拡大防止のために重要です。 主な感染経路は以下の通りです。

Q.感染性胃腸炎はどのように診断される?

感染性胃腸炎は、問診(症状の経過、食事内容、周囲の流行状況、海外旅行歴など)や診察から診断されることが多いです。脱水症状が強い場合や合併症を伴う場合、食中毒などの集団感染が疑われる場合には、検査によって確定診断を行うこともあります。

感染性胃腸炎の治療

感染性胃腸炎に対する特別な治療薬は、多くの場合ありません。治療の中心は、体力を回復させながら症状を和らげる対症療法と、脱水症状を防ぐための管理です。

1. 水分補給の徹底

最も大切なのは、水分、糖分、ミネラルを適切に摂取し、脱水症状を避けることです。吐き気が強く水分摂取が難しい場合は、極少量(スプーン1杯程度)ずつを頻繁に摂取することが重要です。市販の経口補水液や経口イオン水は、電解質や糖がバランスよく配合されており有効な手段です。

2. お薬による治療

症状に応じて、以下のようなお薬を処方いたします。

整腸剤・乳酸菌製剤 腸内環境を回復させるために処方することがあります。
抗菌薬 細菌性胃腸炎が強く疑われる場合や、症状が長引く場合には、原因菌に合わせた抗菌薬を処方します。
吐き気止め(制吐薬) 吐き気が強い場合に、症状を抑えるために用います。
解熱鎮痛剤 高熱がある場合に、発熱による不快感を和らげるために処方することがあります。
胃酸分泌抑制剤・胃粘膜保護剤 胃の痛みや不快感が強い場合に処方することがあります。

Q.下痢止めは処方してもらえる?

下痢は腸内の病原体や毒素を体外へ排出する重要な防御反応であり、これを止めると病原体が体内に留まり、毒素を吸収してしまう可能性があるため、基本的には処方しません。ただし、重度の下痢で体力の消耗が著しい場合など、医師の判断で慎重に処方します。

3. 安静と休養

感染性胃腸炎の症状が出ている間は、無理をせず安静にして体力の回復に努めることが大切です。多くの場合、体内で増殖した病原体は便や吐物とともに排出され、一定の時間が経過すると自然に改善に向かいます。

感染性胃腸炎にかかったら

感染性胃腸炎にかかったときの食事は?

感染性胃腸炎の症状がある時は、胃腸への負担を減らし、体力の回復を助ける食事を心がけましょう。

発症直後

嘔吐がひどい時は、無理に飲食せず、胃腸を休ませることが大切です。吐き気が治まってから(目安として1時間後くらい)、少量ずつ水分補給を始めましょう。スプーン1杯(約5cc)程度の量を10~15分間隔で飲むのが良いでしょう。

消化の良い食べ物を少量ずつ

水分補給と並行して、消化の良い食べ物を少量ずつ摂り始めましょう。具体的には、おかゆ、うどん、すりおろしたリンゴ、ゼリーなどがおすすめです。食欲がなければ無理に食べる必要はありませんが、水分だけは十分に摂取してください。

避けるべき食べ物

症状が改善するまでは、脂っこいものや刺激物(香辛料の多い料理、炭酸飲料、アルコールなど)、生もの(生肉、生魚、生卵など)は避けましょう。これらは胃腸に負担をかけ、症状を悪化させる可能性があります。

回復期

徐々に通常の食事に戻していきますが、焦らず、胃腸の調子を見ながらゆっくりと段階的に進めましょう。

Q.仕事や学校への出席はいつからOK?

仕事や学校への復帰時期は、症状の程度や原因となる病原体、そして職場や学校の環境によって判断が異なります。

【原則】

嘔吐や下痢といった主な症状が改善すれば、原則として復帰は可能とされています。 しかし、ウイルス性胃腸炎の場合、症状が治まっても便中にウイルスが長期間排出され、感染性が残ることがあります。そのため、完全に症状が治まるまで他人との接触を最小限に抑えることが安全です。迷う場合は、必ず医師の判断を仰ぐようにしてください。

まとめ

感染性胃腸炎は、急激な嘔吐や下痢、腹痛を伴い、特に小さなお子様やご高齢の方にとっては重症化する可能性もある病気です。ご自身だけでなく周囲への感染拡大を防ぐためにも、早期の適切な対処と予防策の徹底が何よりも重要となります。
もし感染性胃腸炎の症状が疑われる場合は、無理せず早めに医療機関を受診し、医師の指示に従ってください。
当クリニックでは、患者様の症状や状況に応じた適切な検査と治療を提供し、皆様の健康をサポートいたします。ご不明な点がございましたら、いつでもお気軽にご相談ください。

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